Diversity Studies

僕はいない、からな

〜「女はみんな生きている」(2)〜

  僕はいない、からな   イル・ド・フランスの田舎からポールの実母が息子に会いに来る。 その度ポールは妻に居留守を使わせる。 母親は1ヶ月ほどホテルに暮らし、忙しがる息子が 時間を作ってくれるのを待つ。 でも彼が会うのはせいぜいカフェで30分。 父親が父...

助けて、お願い!

〜「女はみんな生きている」(1)〜

  助けて、お願い!   ディナー・パーティーから帰るポールとエレーヌの車の前に 暴漢3人に追われた、血だらけの若い女が飛び出した。 「助けて、お願い」 ポールはドアをロックし、女を見捨てて発車した。 救急車を呼ぼうとするエレーヌに「やめろ、関わり合いになるな」...

生活費の援助をやめた

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(38)〜

  生活費の援助をやめた   著者サイン会。行列ができヴィオレットが自著にサインしています。 ラストの字幕にこう出ます。 「私生児」は「ベストセラーとなりボーヴォワールは 生活費の援助をやめた」 ヴィオレットは1972年、南仏フォコンで死去。61歳。 「私...

文学による美しい救済

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(37)〜

  文学による美しい救済   ボーヴォワールのインタビューが続きます。 「ある日、彼女は南仏へ。 山の生活は彼女の官能と好奇心に感性が伴うものでした。 静けさの中で正しく自分を見つめ 世に受け入れられる作品を書いたのです。 詩と真実と多くのものを織りなして...
性的マイノリティが直面する住宅問題が「OTEMON VIEW」に

性的マイノリティが直面する住宅問題が「OTEMON VIEW」に

学校法人追手門学院は、追手門学院大学の特設サイト「OTEMON VIEW」に「性的マイノリティ(LGBTQ)が直面する住宅問題。賃貸契約や不動産購入における社会課題とは」と題した記事を掲載しました。   性的マイノリティは住まいで困っている 追手門学院大学地域創造学部の葛西(くずにし)リサ准教授は、...

著者について話してください

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(36)〜

  著者について話してください   ヴィオレット畢生の大作「私生児」はベストセラーとなった。 ボーヴォワールがラジオ局で インタビューに答えている。 ボーヴォワールさん、著者について話してください」 「作家には語るべきものがあり、それぞれ独自のものです。 ...

構想は出来ている

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(35)〜

  構想は出来ている   母親の葬儀をすませたばかりのボーヴォワールは気落ちしていた。 「泣いている、この私が。後悔ばかりよ。私は母を怖がらせた。 いつか私も死ぬのね。わかっているけど腹がたつ」 気をとりなおし 「今から読むわ。序文を書くわ。構想は出来ている。 ...

もう一度書くのよ!

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(34)〜

  もう一度書くのよ!   ガリマール出版社から月々振り込まれる手当は ボーヴォワール個人のお金だとわかった。 「あなたでしょ! 帰るわ!」 プイと飛び出したヴィオレットをボーヴォワールが追いかけた。 セーヌ河岸を並んで歩く。 「嫉妬、焦燥、不幸、全部あな...

必ず私が支える

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(33)〜

  必ず私が支える   「破壊」は注目を集めた。 「ヴィオレット・ルデュック、男並みに性を語る」 「女性が使ったことのない過激な表現をあえて使っている」 「彼女は何ものも恐れず哀れまない」 しかしボーヴォワールは満足しない。まだ先を見ています。 「ヴィオレ...