Diversity Studies

君たちを見守る必要がある

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」22

君たちを見守る必要がある   トレンヌ神父は酒とタバコを勧める。 「私は君たちの年頃についてよく知っている。注意深く君たちの 心を見守る必要がある。私が監視してやろう。どうだ。 君たちを聖歌隊に加える。喜んで聖体を与えよう。 聖体拝領の前に告白が必要だ」 ジョルジュは...

私の部屋に来るといい

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」21

私の部屋に来るといい   生徒たちの共同寝室で、ルシアンとジョルジュが 就寝時間にもかかわらずヒソヒソ声で話している。 監督官のトレンヌ神父が近づく。 「こんな遅くまで何の用があるのだ。起きていたいなら 私の部屋に来るといい。待っている」 神父が夜の夜中、自分の部屋に...

友だちは一人のはずだ!

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」20

友だちは一人のはずだ!   「ここをどうして知ったの?」とアレクサンドルが訊く。 「ルシアンが教えてくれた」 怖い顔になり「喋ったの!」 「ルシアンは友だちだ」 「じゃ、僕は? 友だちは一人のはずだ!」 少年は怒って出て行ってしまう。 アレクサンドルにとってジョ...

素敵な詩をありがとう

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」19

素敵な詩をありがとう   ジョルジュが礼を言います。 「素敵な詩をありがとう」 「落第しないよう、しっかり勉強します。来年も一緒ですね。 あなたに好かれて幸せです」 韻の踏み方が、「あなた」でなく「君」の方がいいとか、 これでよくなったとかの睦まじいやりとり、ジョルジ...

心臓の鼓動が聞こえる

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」18

心臓の鼓動が聞こえる   温室にアレクサンドルが入ってくる。 温室の階段に笑って立ったと思うと、膝を抱えて座る。 ジョルジュは自分の頭を彼の膝によせ、胸に耳を当てて 「心臓の鼓動が聞こえる。走ったの?」 アレクサンドルは恥じらいながら 「あなたのために詩を書いたから」...

君らには胸が痛むぜ

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」17

君らには胸が痛むぜ   美術の授業の後、わざとタオルを落とすアレクサンドル。 タオルを拾って落とし物だと告げ、取りに戻ったアレクサンドルに そっと手紙を渡すジョルジュ。 かつての自分とフェロンを見ているようなルシアンは 「君らには胸が痛むぜ」 そう言ってジョルジュに密...

アカデミーの入会を許された

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」16

アカデミーの入会を許された   「ジョルジュ・ド・サールがアカデミーの入会を許された」と 校長が告げた。 生徒たちから大きな拍手が沸き起こる。 アレクサンドルは立ち上がって頭の上で両手を打合せ、 大喜びを現した。 〜「寄宿舎〜悲しみの天使〜」〜   ...

気をつけろ

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」15

気をつけろ   聖体拝領の時間。 ジョルジュはアレクサンドルの隣に割って入る。 ジュリアンが隣にきて顔を隠すアレクサンドル、照れるジョルジュ。 傍目もはばからぬジョルジュを、ルシアンが肘でつつき 「気をつけろ」とささやく。 〜「寄宿舎〜悲しみの天使〜」〜   ...

弟のアレクサンドルだ

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」14

弟のアレクサンドルだ   2学期が始まった。 アレクサンドルの兄は同じ学校の上級組だった。 「弟のアレクサンドル。サール侯爵の相続人のジョルジュ。 優等賞の常連で、まもなくアカデミー会員だよ」 兄の紹介で2人は握手した。 生徒たちの集まる大食堂で、立たされて食事してい...

じっとして。あったよ

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」13

じっとして。あったよ   クリスマス休暇の帰省の列車。 年少組の生徒たちがゲームをやっている。 アレクサンドルが車両側の通路に出る。ジョルジュもまた 通路にいた。 列車の窓から顔を出して風に当てているアレクサンドル。 目にゴミが入ってしまう。 ジョルジュ駆けつけ...