ジャック・ゲラン
「邪魔かな?」ジュネがヴィオレットを訪ねてきた。
「君のファンを連れてきたよ。手稿の収集家でね、
ジャック・ゲランだ」
「窒息」を読んで「胸が引き裂かれました」とゲランは言った。
「仕事は何?」
「香水屋です」。あのゲラン?
「大金持ちね」
「そうです。大金持ちの私生児です。あなたと同じ」
親のいないジュネと父親のいないジャックとヴィオレット。
3人は大いに気があった。
ジャックはその後、ヴィオレットの出版に気前よく金を出します。
ヴィオレットって恵まれているわよ。
死ぬの、生きるのと、わめいている場合じゃないでしょ。
〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」〜