いや、彼女には君が必要だ
ヴィオレットの原稿を読んだジェネ。
「大胆な女だな。シモーヌにこれを? とことんやれよ」
「嫌われる」
「いや、彼女には君が必要だ。サルトルは俺に夢中。
シモーヌは君。平等だろ。金をやろう、遠慮せず受け取れ。
ゲランは君が好きだ」
「本気で?」
「よせ。彼は君のものじゃない」
「シモーヌも、よ」
「“女中たち”は君から想を得た。献辞を書くよ。
“臆病な愛は絶えず人生の甘さを苦さに変える”
君は俺の妹だ」
すでに作家として成功していたジュネは、
ヴィオレットを可愛がります。
ジャックもジュネも男性を愛する男性ですが、セックスを離れた
友情が通い合っています。
〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」〜