語りなさい、女性たちのために
「結婚は詐欺よ」とボーヴォワール。
「大半の女性にとって奴隷状態の始まりよ。
経済的自立なしに女性の自立はないわ。まだ遠い先の話ね」
ヴィオレット「初恋は寄宿学校だった。名前はイザベル。
1年後に露見して母に引き離されてから会っていない。
偶然の再会を想像するの。街角やメトロで」
儚さがただようヴィオレットに
「すべて語りなさい。できるわ。私が味方よ。
掘り下げてすべてを語るの。生い立ち、恋愛、特に中絶。
女性たちのために」
ボーヴォワールはなぜヴィオレットにかくまで肩入れするのか。
作家を目指す女性への励まし、それもありますが
ボーヴォワールは自分には書けないものを
ヴィオレットが書けると見たのでは。
異質だけれど本物を持っている、しかもそれは
自分の「第二の性」とはまったく違う切り口で
これまでの文学史になかった作品になるという予感。
〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」〜