人生を取り戻すの
ヴィオレットの母ベルトとの会話。
母親が同棲している男がヴィオレットは嫌いだった。
「あの男と別れて私と暮らせばいい。弟は私が育てる。
もっと広い家を借りる。闇商売は終わりよ。
人生を取り戻すの」
自作の出版が決まったヴィオレットは意気揚々。
でも散々男と金で苦労してきた母は
「はかない夢さ。何も変わらない」冷笑する。
子供時代から母親はやさしくしてくれたことがない。
それが寂しかったが、ヴィオレットは母親が好きだった。
辛辣な発言は彼女に、まやかしがないからだ。
男とか、金とか、世の中とか、家族とかに。
そんな気がするのだった。
〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」〜