ウーピー・ゴールドバーグ

聖歌隊をつくるの

〜「天使にラブ・ソングを2」⑰〜

  聖歌隊をつくるの   ある日の授業で生徒の一人、女の子が綺麗な声で歌った。 「驚いたわ、どこで覚えたの?」とドロレス。 「ここ、音楽クラスでしょ」とちょっと照れていう。 「音楽クラスの進む道が見えたわ。聖歌隊をつくるの。決まりよ!」 でもみんなソッポ。 「聖歌隊はカンベン...

授業が退屈なわけ

〜「天使にラブ・ソングを2」⑯〜

  授業が退屈なわけ   校長や教師や尼僧たちが集まり、職員会議を開いています。 教師の言うことを聞かないのはなぜ? 授業が面白くないからだ。 「授業が退屈なわけをみんなで考えましょう」とドロレス。 「授業する方も眠いわ」と陽気なパトリック。 「性教育を入れたらどう?」「汚い...

一人で意地を張る気?

〜「天使にラブ・ソングを2」⑮〜

  一人で意地を張る気?   動こうとしないクラスメートに 「それでも仲間?」非難をぶつけるリタ。 「一人で意地を張る気?」ドロレスが訊く。 プイッ。 全身これ憤激となってリタが教室を出て行きました。 ドロレスは授業を続けます。 「今日のテーマはこれよ。成功したかったら周り...

努力はまっぴらよ!

〜「天使にラブ・ソングを2」⑭〜

  努力はまっぴらよ!   リタが意地悪く食ってかかります。 「落第させたきゃどうぞ。 私たち古いやり方で満足なの。努力はまっぴらよ」 ドロレスは落ち着き払い 「それがあなたたちの本心なら、私が教室にいる必要ないわ」 スタスタと出て行こうとする。 すがるように男子が一人「う...

授業を聞かない人、外へ出て

〜「天使にラブ・ソングを2」⑬〜

  授業を聞かない人、外へ出て   ドロレスの音楽の授業が本格的に始まりました。 最初にこうカマします。 「進学したいなら勉強して。全員落第でも私はかまわないわよ。 授業を聞かない人、外に出てもらいます」 「カセットをしまって。机の上に余計なものを出さないで。 教室は化粧品コ...

私たちも昔はそう言われたわ

〜「天使にラブ・ソングを2⑫」〜

  私たちも昔はそう言われたわ   「型破りなシスターだ」と校長が言います。ドロレスのことです。 「彼女の過去を教えてくれ」 「私の経験から言うと好きにさせるのがいちばんね。 それが最善策なの」院長は慎重に答える。 職業に差別や偏見を持つ人は少なくない。 「彼女は過激すぎる」...

私たちで何とかしましょ

〜「天使にラブ・ソングを2⑪」〜

  私たちで何とかしましょ   ドロレスが言った。「私たちで何とかしましょ」 「私たち? じゃ、あなたも?」「残ってくれるの?」 「途中で逃げ出したりしないわよ」 再びドロレスに不敵な微笑が浮かぶ。 いるのだよね、こういう人。 絶対にあきらめないやつが。 ベーブルースは言っ...

本部が今期で閉鎖すると決めた

〜「天使にラブ・ソングを2⑩」〜

  本部が今期で閉鎖すると決めた   校長と理事長が話している。 校長「長い歴史ある学校を閉鎖するなんてとんでもない」 理事長「本部が今期で閉鎖すると決めた。この赤字では再建はムリ。 地域からの寄付も入ってこない。 土地活用は駐車場にするのがいちばん効率的と思う」 理事長は年...

「くっついた!」

〜「天使にラブ・ソングを2⑨」〜

  「くっついた!」   「折衷派とは音楽ならなんでもありってことよ」 ドロレスが50〜60年代の女性グループのことを授業しています。 「違う音楽をくっつけるのよ。そのいい例が…」 腰を上げようとするとベタッと接着剤で僧衣が椅子に張り付いていた。 「くっついた!」教室じゅう、ヤ...

あんたは単位をくれればいいの

〜「天使にラブ・ソングを2⑧」〜

  あんたは単位をくれればいいの   札付きのワルどもです。 クラスの中心的な黒人の女の子、リタはふてぶてしくドロレスに言う。 「あんたは単位さえくれればいいの」 ドロレス「つまり何もしないで卒業するのね」 「自分の気にいったことならするわよ」 挑発するが、ビビらないドロレス...