ウーピー・ゴールドバーグ

ギャングの情婦だったのか

〜「天使にラブ・ソングを2」㉗〜

  ギャングの情婦だったのか   教師の1人が図書館で古い新聞を見ました。 ドロレスの顔写真がデカデカと出ています。 「クラブ歌手?」「大物ギャングの情婦!」 「犯罪者だったのか」 「公になる前に我々の手で処理しよう」 一方リタは保護者の承諾書に母親のサインを偽造し、参加を決...

世界中に挑戦するわ

〜「天使にラブ・ソングを2」㉖〜

  世界中に挑戦するわ   ドロレスたちは費用の算出に忙しい。 「会費、ホテル代、衣装代、ガソリン代で2000ドルよ」 「大金だわ」「地元の人たちに頼るしかない」 そこへリタが「聖歌隊やめます」と言ってきた。 ドロレスは母親と掛け合うが許可してもらえない。 一方に希望、一方に...

才能なんて成功とは無縁のものよ

〜「天使にラブ・ソングを2」㉕〜

  才能なんて成功とは無縁のものよ   リタの母親は聖歌隊で歌いたいという娘の希望をへし折ります。 「才能なんて成功とは無縁よ。 才能ある人は路上にいくらでもいるわ。歌より勉強よ。 聖歌隊はなし、よ」ガンとして許しません。 「素晴らしい聖歌隊よ」 「歌ではご飯は食べられない。...

だめだ、許可しない

〜「天使にラブ・ソングを2」㉔〜

  だめだ、許可しない   校長はガンとして応じません。 「だめだ、許可しない。課外活動は禁止だ」 「生徒は練習しています」 「学校が閉鎖されたら終わりだ」 「出場を!」 熱誠に校長はほだされ 「みんなが賛成では仕方ない」しぶしぶ折れた。 「必ず優勝します!」 意気天を...

ハリウッドに行けるぞ!

〜「天使にラブ・ソングを2」㉓〜

  ハリウッドに行けるぞ!   「出場を申し込んだわ」シスターが言った。 「6週間後にハリウッドよ」 「無理だよ」 「ガタガタ騒ぐな。ハリウッドに行けるぞ」 「ここまでこれたのはシスターたちのおかげだ」 「これはチャンスだぞ」 「優勝したら閉鎖されずにすむかも」 生徒たち...

新しい聖歌隊の誕生ね

〜「天使にラブ・ソングを2」㉒〜

  新しい聖歌隊の誕生ね   練習が始まった。 「いいわよ、エネルギッシュに!」ドロレスの激励が飛ぶ。 生徒も先生もみんなやる気を出した。 いい練習場がある。古い教会を音楽教室を改造する。 まず掃除だ。床はピカピカ、壁もポップに塗り替えた。 ガラス拭きにも熱がこもる。 「新...

若き詩人への手紙

〜「天使にラブ・ソングを2」㉑〜

  若き詩人への手紙   「歌が好きでしょ。私は歌うと最高に幸せよ」 ドロレスがリタに話しかける。 「そんな顔、しないで。これは母がくれた本よ。若き詩人への手紙。 リルケよ。すごい作家よ。 ある作家志望の男が彼に作品を送ったの。 リルケの返事は、作家になれるかなどと訊くな。 ...

夢は追わない主義なの

〜「天使にラブ・ソングを2」⑳〜

  夢は追わない主義なの   リタはただ一人、頑なに仲間に入ろうとしません。 メアリーは「歌が好きなら聖歌隊に入って」と声をかけます。 プイと「夢は追わない主義なの」 「私も昔はそうだったわ。シスター・クラレンスが力になってくれるわ。 あなたはまだ17歳。可能性を決めつけるのは...

メリーさんの羊

〜「天使にラブ・ソングを2」⑲〜

  メリーさんの羊   「メリーさんの羊」を練習することにした。 「アマール、いい声だわ。タニア、同じ曲を。素敵よ。 マリア、歌ってみて」 ところがマリアは「メリーさんの羊」を知らないのだ。みな笑う。 アメリカの有名な童謡です。 1877年、エジソンが世界で初めての蓄音機に録...

逃げないで聞け!

〜「天使にラブ・ソングを2」⑱〜

  逃げないで聞け!   理事長が「閉鎖まで波風立てないでくれ」と言っているのが聞こえた。 生徒たちはショックだ。 「閉鎖だって」 「冗談じゃねえ。家族全員が退学している。俺までごめんだ」 スケッチはせめて自分くらい卒業したい。 「アフリカ人の魂を見せてやる」きっぱり言ったの...