Diversity Studies

私の顔が嫌いなのでしょ

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(15)〜

  私の顔が嫌いなのでしょ   階段に座ってヴィオレットがボーヴォワールの帰りを待っていた。 ギョッ「何をしているの」 「私の顔が嫌いなのでしょ。私が醜いから愛せないのね」 ヴィオレットにはかなりの容貌コンプレックスがあります。 「外見は私には関係ないわ。仕事が...

時間はかかるけど書き続けて

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(14)〜

  時間はかかるけど書き続けて   書店の近くのカフェでヴィオレットは立ったまま電話する。 相手はボーヴォワール。 「死んでしまいたい。周りに吹聴したのに本屋に置いてないのよ」 「ガリマール(書店、発行元)に電話するわ」 「どうやって生きれば? 小さい頃からずっ...
「ジェンダーニュートラル・個人マークシール」保育園に無料提供

「ジェンダーニュートラル・個人マークシール」保育園に無料提供

「にじいろ保育の会」は「ジェンダーニュートラル・個人マークシール」を製作、認可保育園を中心に無料で提供するプロジェクトを立ち上げました。「GoodMorning」でクラウドファンディングも始まっています。   ジェンダーニュートラルな「自分のシール」を これまでの保育用品「個人マークシール」は、女子...
渋谷のビジョンでPVを放送し、Xジェンダーの認知を拡大したい

渋谷のビジョンでPVを放送し、Xジェンダーの認知を拡大したい

男女のカテゴリにあてはまらない存在「Xジェンダー」の有志からなるX01プロジェクト委員会が、Xジェンダーの認知拡大を目指してプロモーションビデオ(PV)を制作。東京・渋谷のビジョンで放送するためにクラウドファンディングで支援を募っています。   存在を知ってもらい、共生できる未来を 従来の男女の型に...

私が変?バカにしないで!

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(13)〜

  私が変?バカにしないで!   ヴィオレットは書店にいる。 処女作「窒息」の発売日だから見に来たのだ。 いくら探してもない。 「窒息」が見当たらないけど、と女性店員に訊く。 「無名作家だと出版社は部数を抑えるのです。注文しますか?」 彼女は親切に尋ねてく...

ジュネ、ヴィオレットよ

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(12)〜

  ジュネ、ヴィオレットよ   男がひとり、ふらりと近づいてきた。 「ちょうどよかった、ジュネ、ヴィオレットよ」と ボーヴォワールが引き合わせた。 ヴィオレットは「薔薇の奇跡」を読んだばかりだ。 「シモーヌが君の本を褒めているよ」とジュネ。 午後というのに...

語りなさい、女性たちのために

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(11)〜

  語りなさい、女性たちのために   「結婚は詐欺よ」とボーヴォワール。 「大半の女性にとって奴隷状態の始まりよ。 経済的自立なしに女性の自立はないわ。まだ遠い先の話ね」 ヴィオレット「初恋は寄宿学校だった。名前はイザベル。 1年後に露見して母に引き離されてから...

中絶のことを書いて

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(10)〜

  中絶のことを書いて   ゴミゴミした酒場でヴィオレットとボーヴォワールが飲んでいる。 「中絶のことを書いて」とボーヴォワールが促す。 「窒息」の次を書けというのだ。 「別に話すことはないわ」気のなさそうにヴィオレット。 「何ヶ月だった?」 「5ヶ月半。...

フォアグラ、カマンベール…

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(8)〜

  フォアグラ、カマンベール…   改稿作をヴィオレットは届けた。 「早いわね」ちょっと驚いたボーヴォワールに ドア越しのまま「これを」 「フォアグラ、熟成したカマンベール、豚のパテ」 「闇市で? 代金を払うわ」 「いいえ、贈り物です」 「ありがとう...