フォアグラ、カマンベール…

 

フォアグラ、カマンベール…

 

改稿作をヴィオレットは届けた。

「早いわね」ちょっと驚いたボーヴォワールに

ドア越しのまま「これを」

「フォアグラ、熟成したカマンベール、豚のパテ」

「闇市で? 代金を払うわ」

「いいえ、贈り物です」

「ありがとう。いま来客中なの。また後で」

ボーヴォワールとの会話は電報のやり取りみたいです。

食べ物が何よりありがたかった時代。

ヴィオレットの生活感覚がよく出ていて、

ボーヴォワールも悪びれず受け取っています。

 

 

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」〜

 

 

bn_charm