私の顔が嫌いなのでしょ

 

私の顔が嫌いなのでしょ

 

階段に座ってヴィオレットがボーヴォワールの帰りを待っていた。

ギョッ「何をしているの」

「私の顔が嫌いなのでしょ。私が醜いから愛せないのね」

ヴィオレットにはかなりの容貌コンプレックスがあります。

「外見は私には関係ないわ。仕事が山ほどあるの。後にして」

鍵を開け中に入る。ドアを開けたままにしたのは

入ってきてもいいということでしょう。

「どうしたら愛してくれる?」

さっさとワインを注ぎ(自分だけ)飲みながら「泣き言は大嫌い」

「生活できない。お金がまったくないの」

「妄想に形を与えなさい。書くの。それが解決法よ」

「誰も私に関心を持っていない」

「自分のために書くのよ。次を書くの」

ヴィオレットの甘えに貸す耳はない。書け、書け、の連打です。

愛の告白も見事に空振り、だったのですが…。

 

 

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」〜

 

 

bn_charm