もう一人の性体験の話は?
書くことがないというヴィオレットにボーヴォワールが
「寄宿生時代のもう一人の性体験の話は?」
ヴィオレットが何気に話した中身を、ボーヴォワールはよく覚えています。
単に頭がいいからでしょうか、いやあ、ボーヴォワールだって
ヴィオレットに関心があるのだと思いますよ。
「イザベルのこと? そんなもの誰も興味を持たない。
私が売春婦だとしても、この顔じゃ誰もお金を払わない。
私は神経症のイカれた女よ。40歳過ぎてもひとつ、誰もいない。
いつもひとりぼっち、お金もない、恋愛もない」
これだけぼやける相手がいるのは、ある意味恵まれているのでは?
ボーヴォワールも聞き慣れたと見え、抵抗しません。
その代わり…
〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」〜