ジョン・ヘイマン

(セリフなし、ラストシーン)

〜「秘密の儀式」㉚〜

  (セリフなし、ラストシーン)   棺の中に眠るチェンチをレオノーラが見つめる。 また娘を失った。 茫々と無限孤独が果てしなく広がっていく。 アルバートが来た。チェンチの死に顔を覗き込む。 近づいたレオノーラはものも言わず刺すのだ。 声も出ず男は倒れる。 女二人だったら機...

この私に何が必要だというの?

〜「秘密の儀式」㉙〜

  この私に何が必要だというの?   毎日電話したというレオノーラに「何の用で?」 冷たくチェンチが答える。 「もしかしたら私が必要かと」 「この私に何が必要なの? 仕事がほしい?」 「それでもいいわ」「紹介状はある?」意地悪く聞きます。 「お願いだからここに居させて」 レ...

それ、ママの服よ。出てって。

〜「秘密の儀式」㉘〜

  それ、ママの服よ。出てって。   とうとうチェンチはレオノーラと決裂。 「それ、ママの服よ。出てって」 お前はママじゃない、と宣言したようなものです。 親子ごっこだったかもしれないが、レオノーラは安らぎを得た、 チェンチもチェンチで心の空虚を埋められた。 現実に立ち戻り、...

その若さで何が疲れたの?

〜「秘密の儀式」㉗〜

  その若さで何が疲れたの?   レオノーラはチェンチとの会話がかみ合わなくなる。 「先に休ませてもらうわ。とても疲れたから」 話もそこそこにチェンチは切り上げる。今までの親しみもやさしさもない。 「何が疲れたの。その若さで」ついレオノーラは問いただす口調。 「体の状態が疲れや...

君といると子供に戻っていく

〜「秘密の儀式」㉖〜

  君といると子供に戻っていく   アルバートはアルバートで、チェンチを愛しています。 レオノーラ「あの子は私を必要としている」 「君といると子供に戻っていく。 25か、30歳の頃は哺乳瓶を咥えているだろう」 母親として愛したいレオノーラと、 大人の女として扱いたいアルバート...

あの子が罪へと駆り立てる

〜「秘密の儀式」㉕〜

  あの子が罪へと駆り立てる   アルバート「あの子が人を罪へと駆り立てる。 わいせつの罪。暴行の罪。素晴らしい禁断の罪。あのソバカスや腕。 厚い唇の誘惑には勝てない。 ベビーオイルを持ってきて俺をうつ伏せに寝かせ、馬みたいにまたがり 絹のような髪で俺の背中を打った。 足を器...

娘をどうする気だ

〜「秘密の儀式」㉔〜

  娘をどうする気だ   本作で最も見応えのあるシーン。 リズとロバート・ミッチャムの対決です。 「君は妻より牛に似ている。悪気はない。俺は牛が好きでね。 妻に従妹はいない。娘をどうする気だ」 「あなたに質問する権利はないわ」 「正気か。俺は後見人だぞ」「違うわ」 「どんな...

ようこそ、エンゲルハードさま

〜「秘密の儀式」㉓〜

  ようこそ、エンゲルハードさま   レオノーラとチェンチはリゾート地に旅行する。 風光明媚な高級ホテルに泊まる。 チェンチのお腹は大きく、見るからに妊婦である。 ぬいぐるみの人形を片時も離さない。 レオノーラは見慣れた振る舞いのせいか、 「いつものアレ?」「そうなの」 驚...

誰がこんなことを!

〜「秘密の儀式」㉒〜

  誰がこんなことを!   アルバートは帰った。チェンチが家に一人。はしゃいでいる。 片方が脱げた白いソックスのまま、踊り回り、カーテンを引きちぎり、 荒々しく物を投げつける。 帰宅したレオノーラは真っ青。 「チェンチ、誰がこんなことを!」 「アルバートよ」 チェンチの狂乱...

あの子をください

〜「秘密の儀式」㉑〜

  あの子をください   レオノーラが教会で祈っています。 「あの家に帰る強さをお与えください。目的はお金じゃない。 この3年間、街を渡り歩いてきました。 好きで公園のベンチに座っていたわけじゃない。 誰も寝たがらない哀れな男を待つしかなかった。 神様、あの子をください。 ...