あれは僕宛の手紙です
しかしジョルジュの方が上手だった。
「放校はされないよ」とアレクサンドルに言い、
授業を抜けて校長室に行く。直談判だ。
「あれは僕宛の手紙です」とまず正面突破。
「アカデミーに入会したいという彼の希望を叶えたく、
勉強を援助しました。詩を朗読し、
もっとやさしい声で、みたいなことを言ったら、
彼は本気にしました。趣味の悪い冗談でした。
あの子はすごく熱心に勉強し、礼状がきました。
彼は僕の名前を出したくなかったのです。僕は真実を
お話しすべきだと思って」校長は納得した。
「今回のことは子どもらしい過ちだ。
幼いアレクサンドルは無理もないとしても、君の行動は意外だ。
友情にも限度がある。進んで告白にきた良心は認めよう。
だが許可なく教室を出て、校長室に来たことは罰せられる。
日曜は外出禁止だ」
たかが日曜の外出禁止だ。
ジョルジュはニンマリしなかったか?
〜「寄宿舎〜悲しみの天使〜」〜