やらせて
シャーロットの生活は楽しくありませんでした。
夫は高圧的で、弾んだ会話をしたことがない。
上流階級の暮らしには心許せる友だちもいなかった。
産後ウツに落ち込んだ自分を、夫は厄介払いして旅に出た。
メアリーはズケズケ言うが親身に世話をしてくれた。
シャーロットはメアリーと友だちになりたくなる。
ニンジンをこそげる、石炭を運ぶ、あれこれ手伝うというが、
包丁の使い方も知らず、重い石炭はぶちまけてしまう。
情けなくなって「ワッ」。床に突っ伏して泣いてしまった。
メアリーは手の施しようもなく、ベッドに寝かせ熱い紅茶を飲ませる。
美味しそうにすすり、「それは?」と訊く。
メアリーはベッドに付き添いながら、
観光客用のアンモナイトを糊付けしていた。
「やらせて」と手を伸ばす。性懲りも無くサポートするつもりだ。
〜「アンモナイトの目覚め」〜