フィオナ・ショウ

(刺繍のハンカチ)

〜「アンモナイトの目覚め」(51)〜

  (刺繍のハンカチ)   小汚い宿を見つけたメアリー。 ポツネンのベッドに腰掛け、手には白いハンカチ。 別れる前夜、シャーロットが差し出し小花の刺繍をあしらったハンカチだ。 啖呵を切って出てきたものの、切なさが襲う。 発掘の仕事はライムでないとできない、 ...

宿を探さなきゃ

〜「アンモナイトの目覚め」(50)〜

  宿を探さなきゃ   「自由な鳥を金の鳥かごに入れたいの?」 くるり、踵(きびす)を返し「宿を探さなきゃ」 部屋の出口でもう一度クルリ、 「知っていたら来るのじゃなかった。船賃を節約できたのに」 ステ台詞とはこれを言うのでしょう。 「メアリー、メアリー」...

わかっていない!

〜「アンモナイトの目覚め」(49)〜

  わかっていない!   でもここがメアリーのメアリーたる所以ですが、 シャーロットの懇請にもひるまず 「私の人生はどうなるの? 発掘は?」 「あんな浜辺で苦労させたくない、ここなら好きなだけ、 重要な研究ができるのよ」 なだめるように翻意を促すのですが ...

前の人生に戻りたくない

〜「アンモナイトの目覚め」(48)〜

  前の人生に戻りたくない   「お願い、メアリー、突き放さないで。前の人生に戻りたくない」 シャーロットにしたら、ついに見出したアイデンティティです。 料理の一皿にも夫の指図を受け、ソースなしの焼き魚をあてがわれ 「でも」と一言いいかけたら「黙って」と返ってくる会話...

特別な関係にしたかったの

〜「アンモナイトの目覚め」(46)〜

  特別な関係にしたかったの   「ここに私が馴染むと思う? 棚の化石みたいにラベルを貼る?」 「ちがうわ、誤解よ、そうじゃない、考えすぎよ。 私たちを特別な関係にしたかったの」 シャーロットのこの言葉は今でも新しい。 友人でもなく、夫婦でもなく、家族でもなく、...

驚く顔が見たかっただけよ

〜「アンモナイトの目覚め」(45)〜

   驚く顔が見たかっただけよ   さらにメアリーは追い打ちをかける。 「はめられた気分よ」 「そんなつもりじゃ」シャーロットは口ごもる。返す言葉がない。 「家に招かれ、だまし討ちにあった感じ。なぜ隠していたの?」 隠す? 「驚く顔が見たかっただけよ」(このわか...

追い詰められた気がする

〜「アンモナイトの目覚め」(44)〜

  追い詰められた気がする   やっとメアリーは言った。「追い詰められた気がする」 「まさか!」 「はめられた気分よ」 「メアリー!」 シャーロットは大声で言い返します。 彼女は物静かだが気の弱い女性ではない。 初対面のメアリーにさえ「掘り出せば? ...