前の人生に戻りたくない
「お願い、メアリー、突き放さないで。前の人生に戻りたくない」
シャーロットにしたら、ついに見出したアイデンティティです。
料理の一皿にも夫の指図を受け、ソースなしの焼き魚をあてがわれ
「でも」と一言いいかけたら「黙って」と返ってくる会話。
冬の海でメアリーにしがみついた開放感、
笑いあった日々、店の外に出した手書きの看板、
早速買い手が現れたじゃないの。
メアリーの古代生物学者としての、
発掘者としての実力をわかってほしいとつい熱弁をふるった日。
自分が弾くチェンバロに聴き入っていたメアリー。
静かで明るく、充実した感情生活。
「戻りたくない!」とシャーロットが言うの、当たり前よ。
〜「アンモナイトの目覚め」〜