ありがとう…

 

ありがとう…

 

壁を向いてシャーロットが突っ伏している。

メアリーがベッドの端に腰掛けると、背を向けたまま何か手渡した。

小花を刺繍した白いハンカチだ。

ランプのそばで、シャーロットが刺繍していた。

「ありがとう…」

メアリーはそれだけ言って、ハンカチに目を落とす。

言葉などない。水に落ちた石のように、すべてが沈んでいく。

 

 

〜「アンモナイトの目覚め」〜

 

 

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