一人じゃイヤ、ついてきて
新婚旅行に出発です。汽車の窓からリー・ミンが身を乗り出して
送りに来るアンを待っている。アンが来た。
「一緒に来て」夫のタンを振り向き「妹さんも一緒に」
タンはまじまじと妻を見る。
「君は正気か。ハネムーンだぞ」
無理もない。妹がくっついてくるハネムーンなんて聞いたことがない。
汽車が動き出した。
「一人じゃイヤ、ついてきて」
新婦の手を握ったまま一緒に走る娘を、父教授が抱きとめる。
「何の真似だ!」父は途方にくれる。
アンは汽車を見送り、しょんぼりと背を向けた。
〜「中国の植物学者の娘たち」〜