母親に心酔していたの

 

母親に心酔していたの

 

叔母さんが言う「チェンチは母親に心酔していたの。お葬式の前の夜、

チェンチは棺の横に座っていた。あの顔は一生、忘れない。

あの頃からチェンチは不安定になった」

寄る辺ない孤児。棺にひとり寄り添うチェンチを想像してレオノーラは

胸が痛くなる。うって変わってこの叔母さんたちの元気なこと。

獲物を狙うハゲタカね。世間しらずのチェンチなど

赤子の手を捻るようなもの。レオノーラの脳内で赤信号が明滅する。

 

 

(〜「秘密の儀式」〜 )

 

bn_charm