本当はなんだったのだろう
タキは何も語らなかった。
「おばあちゃんのあの深い悲しみの原因は、本当はなんだったのだろう」
山田洋次の脚本に一言はさまった「本当は」がミステリアスです。
可愛がってくれた雇い主が死んだという悲しみなら話は単純だ。
わざわざ「本当は」などと言わせなくともすむ。
でもちがう。それだけじゃなかった。
沈黙によって自分だけのものにした愛をタキは秘め続けていたのです。
黒木華はベルリン国際映画祭銀熊賞(主演女優賞)を本作によって
受賞しました。今みてもいいですね。