監督 イム・デヒョン

「久しぶりね」「そうね」

〜 「ユンヒへ」35〜

「久しぶりね」「そうね」   運河に沿って歩くユンヒとジュンの後ろ姿が映る。 「久しぶりね」「そうね」 会話はそれだけ。二人の間はやや離れていて、 密着しているわけでもない。 腕を組むわけでも手を繋ぐわけでもない。 通りすがりの見知らぬ同士が歩いているのと同じだ。 ...

「……」

〜 「ユンヒへ」34〜

「……」   クライマックスは沈黙のシーンです。 ジュンとユンヒは見つめ合っているだけで言葉もない。 赤いポストの影でセボムが成り行きを見守っているが、 高校生の女の子は、母とその別れた恋人が ただぼんやり突っ立っているだけに見えたでしょう。 ユンヒを演じるキム・ヒエ...

ユンヒなの?

〜 「ユンヒへ」33〜

ユンヒなの?   ジュンは運河のほとりで待っている。 約束を取り付けた女子高校生らしい人物はいそうもない。 目を配っていると、やや離れた場所に立っている 黒いコートを着た、背の高い女性がいる。 セボムの「午後6時に食事云々」の提案に どことなくうさんくさいものを感じて...

運河の時計の前で

〜 「ユンヒへ」32〜

運河の時計の前で   次は母ユンヒに連絡する。 「ごめんね、最後の夜なのに一緒におれなくて。 運河の時計の前で6時に会おうか」 小樽の運河は赤煉瓦の壁がある、クラシックな地域、 観光名所になっています。 そこで母と待ち合わせて食事の約束をした。 〜「ユンヒへ」〜 ...

母から話を聞きました

〜 「ユンヒへ」31〜

母から話を聞きました   「一度お会いしたかったのです」とセボム。 「母から話を聞きました。母は今回来ていません。 夕方6時には何を? 一緒に食事でもお願いできますか、 友達とケンカして一人になったので」と、作り話をする。 娘は娘なりに、なんとかユンヒとジュンの20年ぶりの...

ユンヒの娘が店にきたの

〜 「ユンヒへ」30〜

ユンヒの娘が店にきたの   「実は」とマサコ叔母さんがきりだした。 「ユンヒの娘が店にきたの」 ジュン「!」 「どうして話してくれなかったの」 「今、話しているわ。それでね、明日あんたに会いたいって」 「私に? 変わった子ね」 とぼけたってダメよ、と叔母さんは思...

この写真、お母さんが?

〜 「ユンヒへ」29〜

この写真、お母さんが?   マサコ叔母さんは部屋にあるジュンの写真を見て 「この写真、お母さんが撮ってくれたの?」 「ユニ(ユンヒ)が撮ってくれたの。 最近ユニが夢によく出てくるの」 「どんな夢を見るの?」 「ただ一緒にいるの、夢の中で」 なんだろう、この思いの...

お父さんは私に関心がなかった

〜 「ユンヒへ」28〜

お父さんは私に関心がなかった   「叔母さん、お父さんとお母さんが離婚する時 どうして私がお父さんと一緒に暮らすと言ったかわかる?」 ジュンがマサコさんに言っている。 「お父さんは私に関心がなかったからよ。 お母さんは私のことばかり気にして 自分自身を責めてばかりいた...

私の言いたいことわかりますね

〜 「ユンヒへ」27〜

私の言いたいことわかりますね   こちらジュンとリョウコが飲んでいる。 「タバコはいつから吸っているのですか」とリョウコ。 「18歳くらいからです」 「悪い高校生だったのですね」 「リョウコさんって、本当にいい人ね」 「ジュンさんも、です。初めて会った時からそう感じま...