倍賞千恵子

いやなのね

〜小さいおうち⑪〜

  いやなのね   「私に縁談が来た」とタキの独白。 「相手は私の郷里の中学校の先生。立派なインテリだが年は50過ぎ。 子供は3人いてすでに孫もいる。3回目の結婚だという」 見合いの席。 先生「タキさんは東京へ来てからいっぺんも病気になっておられんとか」 付き添いの女性「嫁の...

お前は想像力がないね

〜小さいおうち⑩〜

  お前は想像力がないね   「いよいよ登場しましたね、彼氏が」と健史。 タキが板倉を好きになる展開だと思っています。 タキは無視。 「お前は想像力がないね」とだけいい話題転換。 板倉は恋の相手ではない。ならば誰を想像すべきなのか。 タキは誰をも心の奥に入り込ませようとしませ...

可愛い顔してね

〜小さいおうち⑨〜

  可愛い顔してね   台風の夜、出張先から帰れないという平井の伝言を持って やってきた板倉は、そのまま泊まることになった。 雨の吹降りの中、窓の修繕をした板倉は恭一の部屋で眠りこんだ。 翌朝、帰りがけ「僕、眠っていましたか」「可愛い顔してね」 時子は板倉にキスして去る。 板...

板倉さんの下宿は電車で2つ

〜小さいおうち⑧〜

  板倉さんの下宿は電車で2つ   板倉の下宿は電車で2つ。平井家の近くです。時子の歓待を得て 「板倉さんは時々、レコードを聴きにいらっしゃるようになりました。 奥様が留守でも、一人でレコードを聴いていらっしゃるときもありました」 板倉は会社員でしょう。昼間から上司の妻の家に来て...

いま来たお客さん、素敵よ

〜小さいおうち⑦〜

  いま来たお客さん、素敵よ   時子がいつになくはしゃぎタキに「いま来たお客さん、素敵よ」 新年の年賀の客の一人に板倉がいました。 時子の夫、平井は玩具製造会社の常務です。 「デザイン部で採用した板倉正治君だ。美術学校を出た優秀な社員だよ」 時子は「主人の会社の人たちとはちょ...

そっと風呂敷を開く

〜小さいおうち⑥〜

  そっと風呂敷を開く   タキのナレーション。 「大晦日の夜、旦那様と奥様にごあいさつをしたら、私は女中部屋に戻り そっと風呂敷を開く。奥様から頂いた銘仙が入っている」 タキは2畳ほどの部屋で数枚の着物を手に取る。 うれしいのでしょうね。時子のやさしさや気配りに触れるようで。...

恋愛なんかしなかったの

〜小さいおうち⑤〜

  恋愛なんかしなかったの   現代のタキ(倍賞千恵子)が大学ノートに半生記を書いている。 大甥の健史が「おばあちゃん、恋愛のことも書けよ」と促すと 「戦争中だったし、恋愛なんかしなかったの」 タキは短く否定する。 「なんか」が、強すぎる感じがします。 山田監督は場面をあっさ...

ほら、私の手冷たいでしょう

〜小さいおうち④〜

  ほら、私の手冷たいでしょう   時子は無造作にタキの手をつかみ 「ほら、私の手、冷たいでしょう。坊やが嫌がるはずね。 タキちゃんの手、あったかいものね」 タキは時子のするままにさせています。何も言わないときに タキの感情は雄弁です。   (「小さいおうち」 )...

私の足もマッサージして

〜小さいおうち③〜

  私の足もマッサージして   恭一があまり気持ち良さそうなので 「私の足もマッサージして」と時子が頼みます。 タキは膝に時子の足を乗せ、足首から揉みほぐしていく。 「ああ、気持ちいい」時子は声をあげる。 浴衣の裾をめくり、ふくらはぎを揉む。 時子は無邪気にうっとりしています...

奥様、それはわたしの仕事です

〜小さいおうち②〜

  奥様、それはわたしの仕事です   小児麻痺と診断された幼い息子・恭一の足を回復させるために マッサージに通わねばならない。それも毎日。遠い日本橋まで。 「大変だぞ」と懸念する夫に 「恭一のためなら、頑張ります」と時子。 そのときタキが「奥様、それはわたしの仕事です」 自分...