奥様、それはわたしの仕事です

 

奥様、それはわたしの仕事です

 

小児麻痺と診断された幼い息子・恭一の足を回復させるために

マッサージに通わねばならない。それも毎日。遠い日本橋まで。

「大変だぞ」と懸念する夫に

「恭一のためなら、頑張ります」と時子。

そのときタキが「奥様、それはわたしの仕事です」

自分は田舎で4里の道を学校に毎日通った。雨の日も雪の日も。

末っ子の小さな妹をおぶって通ったこともある。

「わたしが必ず治してごらんにいれます」

無私にして誠実、タキはマッサージ師が感心する技術を身につけ、

恭一は自宅で施術できることになる。時子は

「この子は一生タキちゃんに頭が上がらないわね」

心からの深い感謝を表し、タキを妹のように信頼し可愛がります。

時子の幸せな顔を見ることが、タキにもまた無上の喜びでした。

 

(「小さいおうち」 )

 

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