ロマーヌ・ボーランジェ

うまくいくよ、いい関係になるよ

〜「太陽と月に背いて」㊾〜

  うまくいくよ、いい関係になるよ   ヴェルレーヌに感心するのはこういうところです。 ランボーのこっぴどい否定にあったにもかかわらず 「実は独房で君のことを考えた。うまくいくよ。 いい関係になるよ」 ランボーは胸くそ悪そうに 「決してそうはならない。他の...

僕の肉体と魂のどちらを選ぶ

〜「太陽と月に背いて」㊽〜

  僕の肉体と魂のどちらを選ぶ   2人がいるのは深い森の中です。 ランボー「この大自然の中で根本的な問題を君に出そう。 僕の肉体と魂のどちらを選ぶ?」 「肉体だ」とヴェルレーヌ。 「やめろ!」ランボーは怒る。 ヴェルレーヌも知っていたはずなのに。 ...

そうは思わん

〜「太陽と月に背いて」㊼〜

  そうは思わん   世界は変えられなかったというランボーに ヴェルレーヌは 「そうは思わん。君は才能がある。目指したことが異常だったのだ。 方向を変えればいい」 とてもやさしい言葉ですがランボーは歯牙にもかけず 「僕の才能をどう使おうと僕の勝手だ」 「俺以外に誰が真実を言...

言葉は無力だ

〜「太陽と月に背いて」㊻〜

  言葉は無力だ   「自分の作品は世界を変える、誰も僕の域には達しない。 だが何も変わらなかった。世界は変えられない。 言葉は無力だ」 敗北宣言にも聞こえます。 しかしヴェルレーヌはランボーを信じています。 妻に愛想を尽かされ、ランボーにはクソミソに評価され、 殺してやろ...

書くことはやめた

〜「太陽と月に背いて」㊺〜

  書くことはやめた   「なにしに来た?」とランボー。 「君の人生に神の導きを与えたい」とヴェルレーヌ。 「目的などない。書くことはやめた。もう書かない」 書くことがない、とランボーは言います。 前はあったけれど、もうない、と。 書くべきことは書き尽くした、 頭の、心の中...

元気かい?

〜「太陽と月に背いて」㊹〜

  元気かい?   2年後。シュワルツワルド。 ヴェルレーヌとランボーは再会する。 「元気かい? 監獄でキリストと呼ばれた。 マチルドと離婚が成立した。これからできることは神への献身だ」 ヴェルレーヌがランボーとの放浪中に書いた詩は 「無言の恋歌」として出版されていて、友人の...

よくわからないよ

〜「太陽と月に背いて」㊸〜

  よくわからないよ   ランボーは故郷の実家にいます。 母親に詩を見せている。 読んだ母親は「これは何だい? よくわからないよ」 「言葉通りだよ」とランボー。 これが「地獄の季節」です。 理解されることを拒否した独白が連なります。 終わりのほうにこんな詩があります。 「...

禁固2年に処する

〜「太陽と月に背いて」㊷〜

  禁固2年に処する   判決「ポール・ヴェルレーヌを有罪と認め 重度の身体侵害の罪により、罰金200フランと禁固2年に処する」 監獄で、囚人たちが輪になり、鎖を引きずりながら歩くのが散歩の時間。 ガチャガチャと佗しい足枷の音とともに、ヴェルレーヌはうなだれて 歩いています。 ...

ランボーとの間に特別な関係が?

〜「太陽と月に背いて」㊶〜

  ランボーとの間に特別な関係が?   検事が尋問する。「友人との別れに逆上した理由は? ランボーとの間に特別な関係が?」 ヴェルレーヌはうつ伏せにされ、肛門の検査。 医師団は「両者が男色行為にふけっていた」ことを確認します。   〜「太陽と月に背いて」〜 &nb...

ブリュッセル事件

〜「太陽と月に背いて」㊵〜

  ブリュッセル事件   「妻の手紙を読んだ。戻ってきてくれと言っている。 涙の跡が残っている」 ヴェルレーヌはパリに戻るつもりになる。 しかしランボーに嘲笑され、酔った勢いで拳銃を2発、発砲する。 1発がランボーの手のひらに当たった。 これがブリュッセル事件です。ヴェルレー...