監督 エメラルド・フェネル

あのさ、私はちっとも望んでない

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(11)〜

  あのさ、私はちっとも望んでない   やかましく言われるのに、 なぜ家を出ていかないのかというゲイルの問いに 「あのさ、私はちっとも望んでない」 キャス言うには 「彼氏、ヨガ、家、子供、仕事、欲しけりゃ手にしてる。 欲しくないの」 「でも何か望みが...

なぜ出ていかないの?

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(10)〜

  なぜ出ていかないの?   職場のコーヒー店で。プレゼントはスーツケースだった。 ゲイル「露骨だね」 キャス「一発グサリだよ」 「家から出ていけ、の最高のメタファーだね」 ゲイルは真面目な顔になり 「でもなぜ出ていかないの? 白人女とシェアするとか...

「ママ何これ?」「誕生日よ!」

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(9)〜

  「ママ何これ?」「誕生日よ!」   例によっていちばん遅く、のっそりとキャスが朝食の テーブルにつく。 目の前に綺麗なパッケージ。 「ママ、何これ」「誕生日よ!」「怒るな」とパパ。 「誕生日を忘れた? パーティーとかお友達に会うとかは?」 「友達はいな...

おやすみ、ニーナ

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(8)〜

  おやすみ、ニーナ   キャスの部屋に小さな写真がある。彼女は毎晩それに声をかける。 「おやすみ、ニーナ」 本作に具体的なゲイの表象はありませんが、 ボロボロになった親友の世話をするため自分も中退した。 引きずるトラウマは癒えない。 マグマは心の底で沸々...

あんたの小説、ゴミっぽい

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(7)〜

  あんたの小説、ゴミっぽい   腰を抜かしかけている男に 「毎週クラブへ行って、 毎週立てないくらい酔ったフリをする。 すると毎週まんまとあんたみたいな“いい奴”が様子を見にくる。 まだやりたい? 次回は気をつけな。 それと、あんたの小説、ゴミっぽい」 ...

君、サイコか何か?

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(6)〜

  君、サイコか何か?   キャス(キャシー)の次なる男は自称小説家ニール。 「僕は完全主義者だから何度も頭の中で書き直す。 テーマは今の世界で男であること」 どこかで覚えたセリフのようです。 コカインをキャスの歯茎に塗ってやり 「君を見たい、本当の君を」...

ライアンだ、医大で一緒だった

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(5)〜

  ライアンだ、医大で一緒だった   ライアンが来ました。医大の同窓生です。 「なぜこんな店で仕事を?」 「こんなクソな店で?」とキャシーが嫌味で返す。 「ごめん。そうじゃなく。コーヒーをくれる? 僕への罰に、カップに唾を吐いてくれてもいいよ」 キャシーは...

あんたを推薦しておいた

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(4)〜

  あんたを推薦しておいた   ゲイルはコーヒーショップの店長。キャスの上司です。 堅苦しい上下関係ではありません。 「本社で人を探している。あんたを推薦しておいた」 キャス、嬉しそうでもなく「なんで?」 「その陰気な顔は迷惑だから」 キャス、きき流し ...

昨夜、戻ってないな

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(3)〜

  昨夜、戻ってないな   気だるそうに朝食のテーブルに来たキャス。 「昨夜、戻ってないな」とパパ。 「残業していたの」 「コーヒーショップは9時閉店だろ」 「棚卸し、していたの」 「月になんべん、棚卸しがあるのよ」とママ。 怒っているふうでも責めて...

睨むな、うせやがれ

〜「プロミッシング・ヤング・ウーマン」(2)〜

  睨むな、うせやがれ   アパートに連れ込んだ男を翻弄し朝の街に出たキャス。 素足、ジャケットを背に、ヒールを片手に歩く。 「朝帰りかよ」卑猥な声をかけた作業員を無言で見つめる。 たじろぎもしない女。 薄気味の悪さに男たちは「睨むな。うせやがれ」 ほうほ...