アラン・カミング

ドーナツは体に悪い

〜「チョコレートドーナツ」(11)〜

  ドーナツは体に悪い   自分の部屋にマルコを泊めたルディ。朝食です。 「なに、食べる?」「ドーナツ」 「ドーナツは体に悪い。太るしニキビができる」 ショーのステージに立っているルディらしい。 「なにがあるかしら。ピーナツバター。ダメ? ニンジン。ダメ?...

「あれは? 止めて」

〜「チョコレートドーナツ」(9)〜

  「あれは? 止めて」   「憧れはベット・ミドラー」 「デモ・テープを作ったら?」 「お金がかかる」 そんなことを話しながら夜のストリートを走っていたとき ルディが「あれは? 止めて!」 深夜の道をとぼとぼとひとり、背中を丸めたマルコが歩いています。 ...

Fキーのブルースを

〜「チョコレートドーナツ」(8)〜

  Fキーのブルースを   ポールが聞きたがるので 「OK」ルディは店のバンドに「Fキーのブルースを」頼みます。 いつもは口パクですが、彼は自分の声で歌いたいのです。 「東の端っこ、クイーンズの生まれ、 20歳になる前に家を出た、今の住処はいわゆるパダライス、 ...

恥を知ることね

〜「チョコレートドーナツ」(6)〜

  恥を知ることね   マルクの扱い方に困ったルディはポールの職場に電話しますが ゲイと付き合っていることを隠したい彼は居留守を使います。 ルディはマルクの手を引いて職場にやってきた。 「この子の母親が帰らないの。あなた、検察官でしょ、助言をちょうだい」 自分の...

ハイ、マルコ。ルディよ

〜「チョコレートドーナツ」(5)〜

  ハイ、マルコ。ルディよ   大音量で悩ます隣の部屋の住人はヤク中の母親。 男を引き込み、クスリをやっては出て行く。 ダウン症の息子がいる。14歳だ。学校にも行かせていない。 開けっ放しになったドアを覗くと少年がひとりでいた。 「ママは出かけたきり? 行き先は...

本当にそう思ってる?

〜「チョコレートドーナツ」(4)〜

  本当にそう思ってる?   ルディを送って小汚いアパートに来ました。 「ここは仮住まいよ。マリブに家を建てているの」 もちろんウソ。 「待ってくれ。これを」 ポールは名刺を渡し「電話してくれ」 ルディはちょっとためらい「本当にそう思っている?」 こ...

なぜムキになるの?

〜「チョコレートドーナツ」(3)〜

  なぜムキになるの?   ルディの冗談に怒った警官は「手をあげろ」拳銃を抜きました。 「なぜムキになるの?」ルディは冷静です。 警察の手入れに何度もあい、刑務所にも入り、 人並みの扱いを受けてこなかった彼はちょっとやそっとで驚きません。 挑発するルディに「ここ...

お楽しみか?

〜「チョコレートドーナツ」(2)〜

  お楽しみか?   楽屋に戻ったルディはドラグクィーンの仲間に 「いい男がいたでしょ、バーにひとりで」と話しかける。 「あんたの色目、まるで安い尻軽だったわ」 「安くても尻軽じゃない」 そこへ入ってきたのはさっきの“いい男”ポールです どっちも一目惚れで...