アラン・カミング

あの子はずっとあのままです

〜「チョコレートドーナツ」(19)〜

  あの子はずっとあのままです   マルコの症状を診断した医師は言った。 「視力に問題があります。 あらゆる病気にかかりやすい。甲状腺疾患、腸管異常、 特に白血病に。 ダウン症の子を育てるのはたいへんですよ。 大学進学も独り暮らしも、就職も望めません。 ...

同居していると言っていいかな?

〜「チョコレートドーナツ」(17)〜

  同居していると言っていいかな?   監護権を認めるための諮問があります。 「君の住環境では、まず監護権は認められない。 安全な環境とマルコの寝室がないと。 僕の部屋に君が同居していると言っていいかな?」 「同居?」 「法的要件を満たすためだ」 「...

へえ、最近はそう呼ぶんだ

〜「チョコレートドーナツ」(15)〜

  へえ、最近はそう呼ぶんだ   ポールが自己紹介します。 「ルディの弁護士で、友人だ」 2人をチラッと見た母親は「へえ、最近はそう呼ぶんだ」 一目で2人の関係を見てとりますが、詮索しません。 興味半分で、差別的な目で見る人たちよりよほど大人です。 &nb...

合法的に引き取る手が1つある

〜「チョコレートドーナツ」(13)〜

  合法的に引き取る手が1つある   「引き取りたいのだろう? 簡単じゃないぞ」とポール。 「麻薬依存症の母親も、他の子と違うことも、 マルコが望んだことじゃない。 それなのになぜこれ以上、苦しまなくちゃいけない?」 「合法的に引き取る手が1つある」 「そ...

まずいことに

〜「チョコレートドーナツ」(12)〜

  まずいことに   マルコがルディの部屋にいるところを管理人に見られた。 「まずいことに。通報されたと思う」とルディはポールに電話する。 案の定家庭局が連れ戻しに来た。 「いよいよマルコと2人、逃亡の旅ね」 ルディは冗談のように言うが、本気でマルコを引き取りた...