ゲイ映画のキメ台詞

もう椅子で寝ないで

〜「アンモナイトの目覚め」(19)〜

  もう椅子で寝ないで   就寝となった。椅子に腰掛け夜着をかぶるメアリーに 「もう椅子で寝ないで。私にベッドを占領されて疲れたでしょう」 メアリー「ホテルに戻りたかった?」 「いいえ。私を戻したかった?」 「いいえ」 シャーロット、体をちょっとずらし「隣...

やらせて

〜「アンモナイトの目覚め」(17)〜

  やらせて   シャーロットの生活は楽しくありませんでした。 夫は高圧的で、弾んだ会話をしたことがない。 上流階級の暮らしには心許せる友だちもいなかった。 産後ウツに落ち込んだ自分を、夫は厄介払いして旅に出た。 メアリーはズケズケ言うが親身に世話をしてくれた。...

一緒に浜辺に行こうかと思って

〜「アンモナイトの目覚め」(16)〜

  一緒に浜辺に行こうかと思って   シャーロット、化石をクリーニングしているメアリーのところへ来る。 「起きたの?」驚いて訊くメアリーに 「一緒に浜辺に行こうかなと思って。どう思う?」 「自分では(体調を)どう思う?」 「大丈夫よ」 「よかった」 ...

これほど回復するとは

〜「アンモナイトの目覚め」(15)〜

  これほど回復するとは   意識を取り戻したシャーロットを医師が診察した。 「すべて異常なし。これほど回復するとは。完璧です」 お手柄ですね、と医師は褒めちぎった。 医師が帰ったあと、シャーロットがメアリーに微笑むが、 ブスッとしたままのメアリーに、笑顔は引っ...

軟膏を売ってほしいの

〜「アンモナイトの目覚め」(14)〜

  軟膏を売ってほしいの   メアリーはエリザベス・フィルポットを訪ねました。 イギリス式ガーデンの綺麗な庭で、 作業着をまとい、薬草の手入れをしているエリザベスに 「軟膏を売ってほしいの」。 フィルポット軟膏というものを彼女は作っています。 呼吸が苦しそ...

24時間、看護が必要です

〜「アンモナイトの目覚め」(13)〜

  24時間、看護が必要です   リーバーソン医師が往診した。聴診器を外し 「高熱です。何か寒い思いをしたとか、雨に濡れたとか?」 「さあ」。メアリーはふと思い当たる。 「泳いだかも…」 「それでは凍えますね。24時間、看護が必要です」 「冗談じゃない。よ...

母さん、来て、早く!

〜「アンモナイトの目覚め」(12)〜

  母さん、来て、早く!   翌朝、息をゼロゼロ言わせながらシャーロットがメアリーの店に来た。 メアリーがドアを開けたとたん、支える間もなく、床に崩れる。 仰天して抱き起こすが、どうしていいかわからない。 「母さん、来て、早く!」メアリーは大声で母親を呼んだ。 ...

ここで止まれ

〜「アンモナイトの目覚め」(11)〜

  ここで止まれ   「ここで止まれ」箱のような荷車を押す男の声。 ネグリジェのような水着を着たシャーロットの足元の床は板張りで、 隙間から寄せて引く波が見える。 大きな箱車の出口に、取り付け自由な梯子階段が置かれた。 目の前は灰色の冬の海だ。波は高い。 ...

ひとりで泳げば?

〜「アンモナイトの目覚め」(10)〜

  ひとりで泳げば?   シャーロットがメアリーの後ろを歩く。荒波が打ち寄せる浜辺だ。 足取りは重く、屠殺場に引かれていく仔牛みたいだ。 メアリーが掘りかえす岩の目星をつけている。 「あれは?」後ろで声がする。 シャーロットにも気のついた岩があったらしい。 ...