疲れた顔ね
メアリーは糊付けするシャーロットのそばで本を開く。
読んでいると「疲れた顔ね」。話しかける。
適当に答えると「お子さんは?」また話しかける。
仕方なく顔を上げ母親は8人の赤ん坊を亡くしたこと、
神経がおかしくなり、胸を病んでいる。
「私には仕事がある。子供は必要ない」
シャーロットには衝撃だった。
女はみな夫を必要とし、子供の養育を至上命題としているのに、
結婚しないことを苦にもせず生きていける女がいるなんて。
シャーロットの性格が素直だったせいもあるでしょう。
メアリーの言葉を世捨て人の強がりとして蔑んでいたなら
2人の間には何も生まれなかった。
シャーロットはメアリーに惹かれていきます。
最初は奇妙な動物を見るような感覚だったかもしれませんが、
誰に気兼ねせず、貧しくとも仕事に打ち込む女が「いたのだ!」
羨望か驚きか知りませんが、
ますますメアリーに近づきたくなったのは確かです。
と、いうのも、2人の関係性を見ていると、
どうみてもシャーロットの方が積極的だったからです。
〜「アンモナイトの目覚め」〜