ゲイ映画のキメ台詞

あなたの気にいるわ

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(7)〜

  あなたの気にいるわ   加筆修正に余念のないヴィオレットに郵便物が届いた。 書籍だった。 「あなたの気にいるわ ボーヴォワール」 本はジャン・ジュネの「薔薇の奇跡」だった。 本作に登場する文学史を彩る綺羅星のような作家たち。 サルトル、コクトー、ジャン...

人生を取り戻すの

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(6)〜

  人生を取り戻すの   ヴィオレットの母ベルトとの会話。 母親が同棲している男がヴィオレットは嫌いだった。 「あの男と別れて私と暮らせばいい。弟は私が育てる。 もっと広い家を借りる。闇商売は終わりよ。 人生を取り戻すの」 自作の出版が決まったヴィオレット...

いっしょに頑張りましょう

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(5)〜

  いっしょに頑張りましょう   ボーヴォワールは続ける。 「あなたの原稿をカミュ(ガリマール書店の編集者)に渡そうと思うの。 急いで修正して。父親のことも具体的に。 私生児を産ませた卑怯な男よ。掘り下げるの。 1週間か10日で仕上げて、その時にまた。 お...

まず謝らせて

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(4)〜

  まず謝らせて   「ヴィオレット、どうぞ」 ボーヴォワールは親しく名を呼び(ヴィオレットの姓はルデュック) 招じ入れた。 「まず謝らせて。金持ち娘の退屈な自伝かと思ったら違った。 素晴らしい本よ。力強く大胆で、そこがとても重要。 長く書いているの?」 ...

読了 明朝9時わが家へ

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(3)〜

  読了 明朝9時わが家へ   ヴィオレットは電報を受け取った。 「読了。明朝9時わが家へ ボーヴォワール」 仕事が早いですね。胸をときめかしヴィオレットは出かけた。 ボーヴォワールも注目されたとはいえ、まだ駆け出しです。 しかしヴィオレットが惹かれたのは小説の...

必ず読むわ

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(2)〜

  必ず読むわ   ボーヴォワールを待ち受けたヴィオレットが 「私の自伝です」と原稿を押し付ける。 当然、戸惑いますが 「いま急いでいるの。でも必ず読むわ」と言って受け取る。 いきなり出現した中年の無名の作家志望の女性に 「必ず読む」と言って安心させるとこ...

「招かれた女」に感動しました

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」(1)〜

  「招かれた女」に感動しました   一言で言うと、ヴィオレットという女性作家が ベストセラーを出すまでの20年に及ぶ苦難の物語。 時代は1945年終戦直後のパリ。 ボーヴォワールの「招かれた女」を読んで感動したヴィオレットが ボーヴォワールにカチコミをかけると...

(刺繍のハンカチ)

〜「アンモナイトの目覚め」(51)〜

  (刺繍のハンカチ)   小汚い宿を見つけたメアリー。 ポツネンのベッドに腰掛け、手には白いハンカチ。 別れる前夜、シャーロットが差し出し小花の刺繍をあしらったハンカチだ。 啖呵を切って出てきたものの、切なさが襲う。 発掘の仕事はライムでないとできない、 ...

宿を探さなきゃ

〜「アンモナイトの目覚め」(50)〜

  宿を探さなきゃ   「自由な鳥を金の鳥かごに入れたいの?」 くるり、踵(きびす)を返し「宿を探さなきゃ」 部屋の出口でもう一度クルリ、 「知っていたら来るのじゃなかった。船賃を節約できたのに」 ステ台詞とはこれを言うのでしょう。 「メアリー、メアリー」...