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1976年秋冬コレクション

〜サンローラン⑭〜

1976年秋冬コレクション   この映画は本シリーズの冒頭で書いたように、1967年から1976年の、 イヴ・サンローランの時代を取り上げたものです。モードの帝王がいかにして生まれたかというより、 彼は生まれ持った天才のためにどんな代償を払って きたか、素顔の「帝王」に迫りたかったのだと思...

夜のイヴは恐ろしい

〜サンローラン⑬〜

夜のイヴは恐ろしい   ピエールは公私にわたってサンローランの人とブランドを 支えてきたパートナーです。ある夜異様な気配に目がさめると、イヴが見つめ手に鈍器のようなものを持っている。 「別々に暮らすよ。夜のイヴは恐ろしい。僕を殺そうとした。 18年、愛してきた彼が心の平衡を失っていく。見た...

自分が耐えられない

〜サンローラン⑫〜

自分が耐えられない   「目を閉じると服が軽々と舞っている。フォルムや色彩が舞っているんだ。 でも目を開けると息苦しさしか見えない。自分が耐えられない」 サンローランは追い詰められていく。 もっと他に楽しむことはないのかと、わたしのような 俗物は思うのですけど。 要は満たされないのです...

イヴ、彼にのめり込むな

〜サンローラン⑩〜

イヴ、彼にのめり込むな   「イヴ、彼にのめり込むな」とピエールが忠告する。 サンローランの生活の乱脈を見かねた。嫉妬ではなかったでしょう。 ピエールはパートナーであるとともにブランド「サンローラン」の運営責任者です。 脛に傷のありすぎるサンローランは忠告を黙って聞くしかない。 ピエールは...

人に言えない病気です

〜モーリス⑪〜

人に言えない病気です 精神的に追い込まれたモーリスは医師を訪ねます。「人に言えない病気です。女のことです。僕もオスカー・ワイルドと一緒なのです」思いつめたモーリスに医師は「いいか、モーリス。悪魔の汚らわしい誘惑に耳を傾けるな。何も言うな」モーリスはそれですまない。「悩んでいるのです」「くだらん!」(それはな...

クライヴが婚約したわ

〜モーリス⑩〜

クライヴが婚約したわ クライヴが婚約した。モーリスの妹と、いう話もあっただけに、モーリスは妹を気遣います。モーリスにはクライヴと家ごと、家族ごと引き離される気がしたでしょう。ほどなく婚約を知らせる電話がクライヴから。「アンと代わるよ」電話に出た婚約者アンは育ちのいいお嬢さんそのもの。はにかんで「あなたは電話...

リズリー子爵、逮捕

〜モーリス⑨〜

リズリー子爵、逮捕 ショッキングなニュースが伝わりました。新聞にでかでかと「リズリー子爵風紀壊乱罪で逮捕」リズリーはケンブリッジ大学の友人です。オスカー・ワイルドもこれより前、同じ罪で逮捕されていました。同性愛は目の敵です。リズリーがクライヴに弁護を頼むがクライヴは口をモゴモゴさせる。「そうか、僕と関係を持...

いずれはここの知事よ

〜モーリス⑧〜

いずれはここの知事よ クライヴの母親は言います。「この屋敷はクライヴの財産よ。いずれはここの知事よ。大学なんかやめて家に戻ってほしい。政治家の未来が開けるわ。旅行もして見聞を広めないと。アメリカや植民地を見るのもいい勉強よ。でもギリシャはダメ」男を愛する悪しき習慣の地「ギリシャはダメ」クライヴの人生に自分が...

すべてが汚れる

〜モーリス⑦〜

すべてが汚れる ベッドで迫るモーリスに「そういうことをすると汚れる感じがする」え、え〜? 「すべてが汚れる。この調和も、肉体も、精神も魂も…女にはわからない」女でなくてもわからないと思うけど。クライヴはモーリスに「でも君にはわかる」お言葉ですが、モーリスだってわからなかったですよ。モーリスはもうがっくり。講...
火

君のおかげで目覚めた

〜モーリス⑥〜

君のおかげで目覚めた モーリスがある夜、窓から忍び込んでクライヴに「愛している!」それだけ言って出て行く。必死の告白です。それまでああだ、こうだ、回りくどかったけど、やっとふたりはお互いの気持ちを知ってラブラブに。「君が応じなかったら僕の人生は目覚めなかった。君のおかげで目覚めた」とクライヴ。授業をサボって...