いずれはここの知事よ

いずれはここの知事よ

 

クライヴの母親は言います。

「この屋敷はクライヴの財産よ。いずれはここの知事よ。大学なんかやめて

家に戻ってほしい。政治家の未来が開けるわ。旅行もして見聞を広めないと。

アメリカや植民地を見るのもいい勉強よ。でもギリシャはダメ」

男を愛する悪しき習慣の地「ギリシャはダメ」

クライヴの人生に自分が関わる余地はないとモーリスは思い知ります。

表向きは平穏に家族同士の付き合いが始まった。

モーリスは父の後を継ぎ株の仲介人に。

ある日クライヴ邸でモーリスに挨拶をした若者がいました。

「猟番のスカダーといいます」

イギリスは当時まだ階級格差が厳しかった。身分違いの若者に

モーリスは関心を払いません。

彼が運命を変える存在になるとは知る由もなく。

 

(「モーリス」 )

 

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