これは私の義務よ

 

これは私の義務よ

 

ヴィオレットの見舞いに来たジャック・ゲランと

階段の上と下で会ったボーヴォワール。怒っています。

「私の反対を無視して電気ショックをかけた。医師に話があるの」

「私も行こう。治療費は負担させてもらう」

「やめて」

「君の彼女への友情と支援に心から感動している」

「彼女と友情は育めない。わかるでしょ。これは私の義務よ。

急ぐから失礼」

木で鼻をくくったような対応です。

才能あるヴィオレットを世に出すのが自分の義務だと言います。

ヴィオレットの愛を徹底的に退けたボーヴォワールですが、

一流出版社から本を出させる、売れなくても諦めさせない、

一緒に食事し、ワインを飲み、刺激を与え、仕事に向かわせ

入院すれば毎週病院に行き、治療費を自分だけで肩代わりする。

ヴィオレットを独占しているのはボーヴォワールじゃない?

 

〜「ヴィオレット〜ある作家の肖像〜」〜

 

 

bn_charm