頑張って!
ここは砂浜。
遠い水平線が美しい。でもソフィはそれどころではない。
50メートルほど離れてマリアンヌとエロイーズが立ち、
ソフィはその間を走って往復する。
中絶法のひとつのようだ。
砂に足を取られフラフラ。
マリアンヌにでん! マリアンヌは「頑張って!」
エロイーズの方に向け背中を押しやる。
「もう走れません」
砂の上にへたり込むと、お嬢さまが近づき、ソフィに
手を差し伸べた。無言で(つかまれ)の合図。
当時の身分では考えられなかったことなのでしょう、
ソフィはキョトンとし、意図がわかってやっと手を握ります。
〜「燃ゆる女の肖像」〜