「居心地は?」「いいわ」

 

「居心地は?」「いいわ」

 

少女のようなメイドが古めかしい、重い木の扉を開けた。

手燭の明かりをかざし部屋に案内する。

だだっ広いガランとした室内に暖炉が燃えている。

季節は12月。火を起こしておいてくれる親切はある。

メイドは3年前からいる。素朴な地元の娘だ。

「居心地は?」「いいわ」と答えた。

いろんな貴族の家に肖像画を描きにいくマリアンヌは

そうむちゃくちゃな家でもないらしい、と見当をつける。

 

〜「燃ゆる女の肖像」〜

 

 

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