ジーンっていうの。よろしく
「半年がまんした。また会いたくて恋い焦がれた。
そしてあの夏、ノアールムーティエ島へ。賭けに出たの」
島の海辺は海水浴でにぎわっていた。
子供たちと波打ち際で遊ぶクラリスがいた。
ジーンを認めたクラリスが快い微笑で迎えた。
「驚いたわ。なぜここに?」
「生徒だった人が、美しい場所だと言っていたから」
幼いアガットが人なつこく話しかけた。
「ジーンっていうの。よろしく」
子供たちとすぐ仲良くなれたジーンにクラリスは嬉しそうだった。
〜「ミモザの島に消えた母」〜