二度と戻らないわよ

 

二度と戻らないわよ

 

アンは意を決する。

この植物園と父から去ることはできない。

そう思っていた。しかしもうリー・ミンか、父と植物園か、

どちらかを選ばねばならない。

「父にここを離れると話してくる」

そういうアンに「二度と戻らないわよ」

言われるまでもなく、アンにはわかっていた。

待っているリー・ミンに「父さん、しっかりして」

そう叫ぶアンの声が聞こえた。

 

〜「中国の植物学者の娘たち」〜

 

 

bn_charm