兄さん、もうやめて!
「早起きだな」
湯を沸かしているアンのそばに兄が来た。
「相談に乗ってくれ。リー・ミンに手紙を書いた。お前の感想が聞きたい」
熱烈なラブレターを読み上げる。
アンは耳をおおいたい。「兄さん、もうやめて!」
「結婚しようなんて、強引だわ。聞きたくない、そんな一方的な手紙」
スタスタ立ち去った妹の背を、兄はあっけにとられて見送る。
タンは真面目でいい青年ですが、
やはり父の息子で女の気持ちがわかる方ではない。
妹が恋のるつぼにいることなんて想像もできません。
〜「中国の植物学者の娘たち」〜