アブサン2杯
ランボーの妹イザベラが去ったあと、ヴェルレーヌはしばらく1人で
座っていたが、おもむろに「アブサン2杯」を注文した。
ウェイターが緑色のアブサンのグラスをテーブルに置いた。
「俺を愛している?」
在りし日のランボーのリフレインが聞こえる。
「君が好きだよ」と俺は答えた。
ヴェルレーヌの回想は続く。
「では、卓の上に手を。手のひらを上に向けて」
幻のランボーはナイフを突き立てずヴェルレーヌの手のひらに
唇を当てた。
ヴェルレーヌが我にかえる。卓の向こうに誰もいない…
アブサンだけがある。
ヴェルレーヌの抒情詩のようなシーンでした。
〜「太陽と月に背いて」〜