彼の家だろ
マチルダの父親がヴェルレーヌをとがめます。
「何で他人をこの家に入れた。働いて自分の家くらい持て。
(ランボーに)くすねた物を返せと言え。幸い、彼は出て行ったが」
「何と!」ヴェルレーヌは飛び上がり、脱兎のごとく雨の街へ走りだす。
ランボーは雨の中でベンチに座り、ソーセージをかじっていた。
「よかった、ここにいたか。義父が失礼をした」
ランボーは頓着せず「彼の家だろ」
所有者だからエラソーにして当たり前だという口調。
世俗的なこだわりがありません。
〜「太陽と月に背いて」〜