私たち、似ているわ

 

私たち、似ているわ

 

息を切らして更衣室に入ったフィアマをエヴァ先生が追ってくる。

窓越しに話しかける。

「私たち、似ているわ。お互いにいろいろ経験してきたし、

わかり合えると思うの。仲良くしましょう」

フィアマは仲良くどころではない、先生が近づくだけで、

怯えて泣き出しそうです。ガタガタ震えているのは

体の冷えだけではないはず。確かに似ているのかもしれません。

どっちもが普通じゃない。一人は問題行動で、頭を冷やすためかどうか、

故郷を所払いになったお嬢さん、一人は学校で異端視されている先生。

フィアマにはエヴァ先生のエキセントリックな性格が

手に取るようにわかったにちがいない。

 

(「汚れなき情事」 )

 

bn_charm