フィアマ? 知りません

 

フィアマ? 知りません

 

夜の点呼でフィアマの不在がわかるがみなシラを切る。

「フィアマ? 知りません。自分勝手な子ですから」とダイ。

フィアマは港の桟橋で長距離電話をかけたがつながらない。

夜は更ける、気温は下がる、誰もいない。

深夜、警官に保護されてフィアマが戻った。

「バス停に座って凍えかけていました」

フィアマ、帰る。

みな心の中で安堵したにちがいないがダイは、さあ、どうか。

 

 

(「汚れなき情事」 )

 

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