「するの?お見合い」「まさか」

 

「するの?お見合い」「まさか」

 

ところが今度は板倉にお見合い話が。

持ってきたのは時子の夫です。

「するの? お見合い」

「まさか。するわけ、ないでしょ」

言を左右して断る板倉に業を煮やした夫は

「お前、この話まとめてくれんか。板倉君と君はウマが合うようだ」

次の日曜日、シャツの袖をまくり上げた板倉がやってくる。

「お見合いの話、預かっているのよ」と時子。

「まだその気はありません」

「ダメよ。そろそろ」

「そんなこと、なぜあなたが言うんですか。いやです」

語気を強くした板倉の腕を、つまり男の素肌を時子がつねる。

どっちも抵抗がない。もう時間の問題。

 

 

(「小さいおうち」 )

 

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