さよなら、パパ

さよなら、パパ

 

出産に向かう日、ロサは「メディナセリ広場を通って」と頼みます。

「止めて。昔ここでよく遊んだわ」

立派なシェパードがロサを見ている。

「ザピック」呼ぶと走ってきてじゃれついた。

かなり年配の男性がロサを認め、話しかけた。

「年齢は? 身長は?」ロサは涙をこらえて答える。父親なのだ。

娘の顔も見分けがつかなくなっている。

「25歳。168センチ」ペネロペ・クルスが本当のことを言っています。

父親は満足気に去る。

「さよなら、パパ」

愛された子供の日々、みな健康で幸せなのが当たり前だと思っていた頃。

時は流れ、去り、消えつつある父の記憶。記憶とは存在そのものです。

哀切が胸に迫りました。

 

(「オール・アバウト・マイ・マザー」 )

 

bn_charm