セシリア・ロス

あとでね

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑱〜

あとでね ロサは赤ん坊を産み落として亡くなる。葬儀の日、子供の父親ロラが来る。彼も死期が迫っている。赤ん坊からの感染を恐れてロサの実母は近づかない。マヌエラは赤ん坊を連れマドリッドで検査を受けた。感染は免れていた。バルセロナに戻ったマヌエラを、アグラードとウマは大喜びで迎える。アグラードはウマと舞台を務めてい...

さよなら、パパ

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑰〜

さよなら、パパ 出産に向かう日、ロサは「メディナセリ広場を通って」と頼みます。「止めて。昔ここでよく遊んだわ」立派なシェパードがロサを見ている。「ザピック」呼ぶと走ってきてじゃれついた。かなり年配の男性がロサを認め、話しかけた。「年齢は? 身長は?」ロサは涙をこらえて答える。父親なのだ。娘の顔も見分けがつかな...
火

母親は私たち二人ね

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑯〜

母親は私たち二人ね 前置胎盤で安静を保つロサがマヌエラに「名前はエステバンに決めたの。あなたの息子と同じ名前。母親はわたしたちふたり」「この世の中にあなたとわたしと坊やだけ」でもロサには家族がいる。けじめだけはつけないと。マヌエラはロサに身だしなみを整えさせ「なんで?」と訊くロサに「お母さまに電話したの。ここ...

エステバンに。ウマ

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑮〜

エステバンに。ウマ この映画は、胸に「ジ~ン」と来るシーンがいくつかありますが、これもそのひとつ。ウマから届いた封筒をマヌエラが開けると短い手紙だった。「私のサインを送ります。エステバンに。ウマ」ウマはあの雨の日、手帳を持ってタクシーの窓を叩いた少年を覚えていた。車の後を走って追ってきたことも。「あなたのサイ...

まあ、面白い

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑭〜

まあ、面白い マヌエラはロサを妹だと人にはいっている。「似ていない姉妹ね」とウマ。「あら、姉妹なの?」(あ、そう、そういうことになっているのか)とアグラードは気づく。「マヌエラはそういっていたけど」「じゃ、姉妹よ」「ウソつきなのね」「いまにわかるわ」アグラードもその道バリバリのキャリア・ウーマンです。くどくど...

あなたは最高の女優、でも…

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑬〜

あなたは最高の女優、でも… 「あなたは最高の女優。でも欠点の多い人だと」マヌエラが言っていたとアグラードがウマにいいます。「他には?」とウマ。その通りだとウマは自分でも思っているから腹も立たない、というより、マヌエラが言うことだから素直に受け止める。「ウマ、あなたは女神、生きる伝説よ」とアグラードが持ち上げる...

ここに越してきていいわ

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑫〜

ここに越してきていいわ 妊娠中のロサの検査の結果は感染でした。マヌエラは「なぜロラなんかと!」怒りがぶり返します。「どうしよう」ロサが心細げにつぶやく。「お母さんは知っているの?」「何も」修道院の「シスターたちは?」「話してない」マヌエラは腹を決めます。ロサの危険を伴う出産まで面倒を見ると。「ここへ越してきて...

乳房のある男性優位主義者よ

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑪〜

乳房のある男性優位主義者よ マヌエラはどうしてそんなにロラ(元夫)を嫌うのかと訊かれ、「男と女の悪い面を両方持った人よ」彼はパリで手術を受け、マヌエラより大きな乳房になって帰ってきた。「乳房以外は男だったから、彼を受け入れたわ」アグラードが「女は寛容なのよ。美徳だわ」マヌエラはピシャリ「女は愚かよ。みな潜在的...

私と寝る以外はね

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑩〜

私と寝る以外はね ウマはマヌエラが気にいって付き人になってほしいと頼みます。「信頼できる付き人が必要なの。私のために働いて。何もかもやって。私と寝る以外は。女はニナで懲りたわ」ウマは高い鼻と鋭い瞳。豊かなブロンド。痩せて背が高く、当代きっての大女優の貫禄を遺憾なくかもします。彼女の口調は指示を出すのに慣れてい...
火

堅気の仕事を見つけたわ

〜オール・アバウト・マイ・マザー⑨〜

堅気の仕事を見つけたわ ロサがやってきてマヌエラに言う。「あなたの堅気の仕事を見つけたわ。私に部屋を貸して」家賃を払うというわけね。「なぜここに住みたいの?」とマヌエラは訊く。「妊娠しているの」マヌエラは仰天。「どうする気?」「産むわ。ここなら騒がれないし」「父親は?」「ロラよ」マヌエラの息子、エステバンの父...