母親は私たち二人ね
前置胎盤で安静を保つロサがマヌエラに
「名前はエステバンに決めたの。あなたの息子と同じ名前。母親はわたしたちふたり」
「この世の中にあなたとわたしと坊やだけ」
でもロサには家族がいる。けじめだけはつけないと。
マヌエラはロサに身だしなみを整えさせ「なんで?」と訊くロサに
「お母さまに電話したの。ここへ呼んだわ」
やってきた母親にロサはここにいるほうが安心できる、自分がちゃんと
ケアすると約束します。母親はロサを「幼いときから他人のようだった」
マヌエラの息子は事故死した。二人の母親のそれぞれの悲しみが、
とても短いやり取りで交差しています。