「本心か?」「そうよ」

「本心か?」「そうよ」

 

「行くのよ!」とカレンはジョーにキッパリ。

「君は?」「大丈夫よ」「行くのよ!」「本心か?」「そうよ」

取り付く島もありません。

下手に勘ぐるより、セリフをそのまま受け止めてみます。

カレンは本心から、ジョーに行くのよ、つまり去るのよと

強い調子で言っています。別れたいのですね。

ワイラー監督は前作「この三人」で、本来の意図をねじ曲げられ、

当たり障りのない平凡な三角関係に妥協せざるをえませんでした。

それが気に入らなかった彼は、再び本作を取り上げた。

今度こそカレンとマーサの関係に肉薄したかったに違いありません。

それを考えると、カレンを拒否させた監督の意志には、

マーサとの関係から逃げない、ごまかさないカレンがいたと思えるのです。

 

(「噂の二人」 )

 

 

bn_charm