興味の対象は学校とカレンだけ

興味の対象は学校とカレンだけ

 

マーサの叔母、モーター夫人は三度の飯より噂話が好き。

「姪御さんが異常だとか」と水を向けられただけで、あとさき考えず、

堰を切ったように喋り出す。

「全く異常よ。普通なら恋人か夫がいて当たり前の年齢よ。あの子は違う。

男が好意を持っても知らんぷり。興味の対象は学校とカレンだけ。

夜中まで働きづめで楽しみはカレンとの休暇だけ。カレンの結婚が決まって

私に当たり散らすの。女の友情かしら? 私にも女友だちはいるけど、あれは異常よ」

噂は噂を呼んで、カレンとマーサは「異常者」の烙印を押され、

学校には娘を退校させる保護者が相次ぎます。

カレンもマーサもなすすべがない。

「理由をおっしゃって」「なぜだかいってください」すがるように頼んでも、

口をきくのも汚らわしいとばかり無視されます。

いう方の無責任もさることながら、聞く方の良識が試されるのが「噂」ですね。

(「噂の二人」 )

 

 

bn_charm