監督 ジャン・ドラノワ

アカデミーの入会を許された

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」16

アカデミーの入会を許された   「ジョルジュ・ド・サールがアカデミーの入会を許された」と 校長が告げた。 生徒たちから大きな拍手が沸き起こる。 アレクサンドルは立ち上がって頭の上で両手を打合せ、 大喜びを現した。 〜「寄宿舎〜悲しみの天使〜」〜   ...

気をつけろ

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」15

気をつけろ   聖体拝領の時間。 ジョルジュはアレクサンドルの隣に割って入る。 ジュリアンが隣にきて顔を隠すアレクサンドル、照れるジョルジュ。 傍目もはばからぬジョルジュを、ルシアンが肘でつつき 「気をつけろ」とささやく。 〜「寄宿舎〜悲しみの天使〜」〜   ...

弟のアレクサンドルだ

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」14

弟のアレクサンドルだ   2学期が始まった。 アレクサンドルの兄は同じ学校の上級組だった。 「弟のアレクサンドル。サール侯爵の相続人のジョルジュ。 優等賞の常連で、まもなくアカデミー会員だよ」 兄の紹介で2人は握手した。 生徒たちの集まる大食堂で、立たされて食事してい...

じっとして。あったよ

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」13

じっとして。あったよ   クリスマス休暇の帰省の列車。 年少組の生徒たちがゲームをやっている。 アレクサンドルが車両側の通路に出る。ジョルジュもまた 通路にいた。 列車の窓から顔を出して風に当てているアレクサンドル。 目にゴミが入ってしまう。 ジョルジュ駆けつけ...

あの子、だれ?

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」12

あの子、だれ?   翌日のミサ。クリスマス直前の子羊の祝福式です。 讃美歌の流れるなか、聖タスシシウスに酷似した少年が 子羊を抱いてホールに入ってくる。 その愛らしさ。美少年をひと目見てジョルジュは心臓がときめく。 「あの子、だれ」とルシアンに尋ねる。 それがアレクサ...

僕は神の手を握らない

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」11

僕は神の手を握らない   ルシアンが枕に顔を埋めて泣く。 ジョルジュが慰める。 「君にはわからないよ。放校の原因は僕とのことだ。 彼から贈られた詩を失くしてしまったんだ。 誰かが密告した」 「校長は僕らの友情を祝福するって。明日のミサに出ろと」 「神の救いの手だ...

汚れた精神は害となる

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」10

汚れた精神は害となる   フェロンは放校処分となった。 「君たちの仲間の一人が学校を去ることになった。小さな過ちも 当校にはふさわしくない。 たとえわずかでも汚れた精神はよき生徒たちの害となる。 ゆえに彼を放校した」 お言葉ですが「汝らのうち罪なき者」はいないのですか...

聖タルシシウスの胸像

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」9

聖タルシシウスの胸像   なんと、ジュルジュはフェロンの手紙を持って校長室に行った。 校長は部屋にいなかった。 学校宛の郵便物が聖タルシシウスの胸像のそばに置いてあり、 フェロンの手紙をその下に紛れ込ませた。 戻ってきた校長に、父親からの挨拶を伝えにきましたとだけ 言...

はみ出し者というのがいる

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」8

はみ出し者というのがいる   自分が悪を避けるとともに、友を守らねばならぬと 神父は言い、 「はみ出し者というのがいる、彼らも迷える子羊なのだ。 よくお聞き。 その手紙が、友を糾弾せねばならぬほどの重大な罪か、 ささいな過ちか、判断は君に任せる。 答えは私にもわ...

恥ずべきことと思います

〜 「寄宿舎〜悲しみの天使〜」7

恥ずべきことと思います   ジョルジュはラブレターを懐に隠し、ローゾン神父に 「恥ずべきことと思います」と差し出した。 フェロンとルシアンへの嫉妬か、いい子ぶりたい正義感か、 要はジョルジュのチクリです。 人の手紙を盗んだ上に上司に言いつけるなんて、 名門侯爵の息子が...